「掛かる」「懸かる」「架かる」「係る」「罹る」違いと使い方の徹底解説

おなじ読みで、ちがう意味

1. 「掛かる」の意味と使い方

「掛かる」は非常に多くの意味や用法を持ち、日常会話や文章内で頻繁に使われる言葉です。さまざまな場面で使われるため、その文脈によって異なる意味を持つことが特徴です。

【意味】

  1. ぶら下がる・吊るす
    • 例) 洗濯物が物干しに掛かる。
    • 例) 壁に時計が掛かっている。
  2. 時間や費用が必要である
    • 例) このプロジェクトはかなり時間が掛かる。
    • 例) 修理には高額な費用が掛かることもある。
  3. 作用が及ぶ・発生する
    • 例) 電話が掛かってくる、疑いが掛かる(疑われる)。
    • 例) 機械の調子が悪くなると、余計な手間が掛かる。
  4. 影響を受ける・対象となる
    • 例) 規則が適用される範囲に掛かる。
    • 例) この計画には、多くの人の生活が掛かっている。
  5. 特定の状況にある
    • 例) 彼は風邪に掛かってしまった。
    • 例) トラブルに掛かると、大きな問題になりやすい。

【例文】

  • 雨の日は傘が必要だが、突然電話が掛かってきた。
  • この作業は手間が掛かるので、ゆっくり進めよう。
  • 計算が複雑で、すべてを確認するのに時間が掛かる。
  • 友達の家に遊びに行くのに、電車賃が掛かる。
  • この薬は効果が掛かるまで少し時間が必要だ。
  • 遠くに住む親族と話をするのに、国際電話が掛かる。

【ポイント】

「掛かる」は日常のさまざまな場面で使われる非常に幅広い意味を持つ言葉です。特に、物理的な動作だけでなく、時間、費用、影響、状態といった多様な概念を表すことができます。

使い分けのポイントとしては、

  • 物理的な意味(ぶら下がる、吊るす)
  • 費用や時間に関する意味
  • 影響や作用を及ぼす意味
  • 状況や状態に関する意味

これらのニュアンスを意識することで、より適切に使うことができます。「掛かる」は日本語の中でも非常に頻繁に登場するため、使い方をしっかりと理解することが重要です。

2. 「懸かる」の意味と使い方

「懸かる」は、命や名誉、重要なものがかかっている状況で使われることが多い言葉です。「掛かる」と似ていますが、より重大な意味を持つ場合に用いられます。特に、リスクや責任が生じる場面でよく使われるのが特徴です。

【意味】

  1. 命や運命が関わる
    • 例) この試合は、選手のキャリアが懸かっている。
    • 例) 大統領選挙の結果には、国の未来が懸かっている。
    • 例) 医療の判断ミスで患者の命が懸かることもある。
    • 例) 彼の決断には、家族全員の生活が懸かっている。
  2. 賭け事や勝負に関係する
    • 例) このレースには、大金が懸かっている。
    • 例) 彼の名誉が懸かった試合だった。
    • 例) このギャンブルには、一世一代の運が懸かっている。
    • 例) 会社の将来が懸かる経営戦略の発表が行われた。
  3. 責任や重要な決断が関わる
    • 例) このプロジェクトは、会社の存続が懸かっている。
    • 例) 彼の判断次第で、多くの人の運命が懸かる。
    • 例) 交渉の結果には、企業の未来が懸かっている。
    • 例) 彼の一言が、国際関係に大きく懸かる問題だった。

【例文】

  • あのヒーローは、仲間全員の命が懸かって戦っている。
  • このプロジェクトは会社の存続が懸かっている。
  • 優勝が懸かる試合は、いつも以上に緊張する。
  • 彼は賭けに懸かる大金を失った。
  • 交渉の行方が懸かる重大な会議が始まった。
  • 家族の将来が懸かるため、彼は慎重に決断した。
  • この一戦に懸かるプレッシャーは計り知れない。

【ポイント】

「懸かる」は、命や人生の重大な局面、賭け事、大きな責任が伴う状況で使われます。「掛かる」との違いは、リスクや影響の大きさにあります。

また、「懸かる」は心理的なプレッシャーや精神的な負担を強調する際にも使われます。例えば、試験や大会のように「結果次第で大きく影響が出る場面」でも適切に使用できます。


3. 「架かる」の意味と使い方

「架かる」は、物理的な構造物や線状のものが一定の位置に渡される場合に使われます。「掛かる」と似ていますが、橋や電線、ケーブルなどに関する具体的な状況でよく用いられるのが特徴です。

【意味】

  1. 橋や道路がある地点をまたぐ
    • 例) 川に架かる橋。
    • 例) 高速道路が街を横切って架かる。
    • 例) 歩道橋が交差点に架かっている。
  2. 電線やロープが吊り下がる
    • 例) 電線が空中に架かっている。
    • 例) テントの上にライトが架かっている。
    • 例) 縄梯子が崖の上から架かっている。
  3. 比喩的な表現としての「架かる」
    • 例) 二つの文化の間に架かる架け橋となる。
    • 例) 両国の友好関係に架かる道を築く。

【例文】

  • 新しい橋が川に架かり、交通が便利になった。
  • 高いビルの間にロープが架かっている。
  • 大きなイベント会場には、巨大なアーチが架かっていた。
  • 国境に架かる橋が両国を結んでいる。
  • 山頂と山小屋の間にロープウェイが架かる。

【ポイント】

「架かる」は、物理的に何かが支えられたり、固定されたりする場合に使われます。「掛かる」と異なり、対象がはっきりとした構造物であることが多く、特に橋や電線などで使用されるのが一般的です。

また、比喩的な意味として「関係の橋渡し」や「つながりを作る」場面でも使われることがあり、抽象的な意味でも活用できます。


4. 「係る」の意味と使い方

「係る」は、物事の関係や担当を示す言葉で、ビジネスや公的な文書でよく使われます。書き言葉での使用が多く、特に法律や規則などの文書において頻繁に見られます。

【意味】

  1. 関連する・関係する
    • 例) 事故に係る調査が進行中です。
    • 例) 環境問題に係る取り組みを行っています。
    • 例) 経済政策に係る重要な議論が行われた。
  2. 担当する
    • 例) 受付係が案内を担当する。
    • 例) 係の者にお問い合わせください。
    • 例) 会場の設営に係る人々が準備を進めている。
  3. 法律・規則に関連する
    • 例) 建築基準法に係る条例の改正が発表された。
    • 例) 税制改正に係る説明会が開かれる。
    • 例) 労働条件に係る法的な変更が予定されている。

【例文】

  • この問題に係る全ての事実を整理して報告してください。
  • 受付係の人が皆さんを案内します。
  • 規則に係る詳細な説明を求める声が多く聞かれる。
  • 新しい政策に係る会議が開かれた。
  • 科学技術に係るプロジェクトが進行中だ。

【ポイント】

「係る」は、何かとの関係や関連性を示す際に使われます。特に、法律や制度、社会的なルールに関係する場合に使われることが多いです。

また、公的な文書や公式な発表で頻繁に見られる表現であり、「掛かる」との違いとして、より専門的・正式なニュアンスが含まれることが特徴です。

5. 「罹る」の意味と使い方

「罹る(かかる)」は、病気や災害などの好ましくない状況に陥る場合に使われます。特に、病気に関する場面で用いられることが多いのが特徴です。

【意味】

  1. 病気にかかる
    • 例) 彼は風邪に罹ってしまった。
    • 例) インフルエンザに罹ると高熱が出る。
    • 例) 食中毒に罹ることがあるので、生ものには注意しましょう。
    • 例) 新しいウイルスに罹るリスクを減らすためにワクチンを接種する。
  2. 災害や被害に遭う
    • 例) 洪水の被害に罹る地域が増えている。
    • 例) 彼は交通事故に罹って入院した。
    • 例) 地震の被害に罹る可能性がある地域では、防災対策が重要だ。

【例文】

  • 彼はコロナウイルスに罹り、自宅で療養している。
  • 長時間の外出で、熱中症に罹る危険がある。
  • 寒い場所で薄着をしていると、風邪に罹りやすい。
  • その町は、度重なる自然災害に罹るリスクが高い。

【ポイント】

  • 「罹る」は「掛かる」とは異なり、病気や災害などの望ましくない状態に使われる。
  • 一般的に医学的な文脈や健康に関する場面で使われることが多い。
  • 「懸かる」とは異なり、勝負や責任ではなく、外的な要因による影響を受ける状況を表す。

6. 子供にもわかる!簡単な説明の仕方

子供にこれらの漢字の違いを説明する際は、身近な例やイラストを活用すると理解が深まります。以下のポイントを参考にしてください。

  • ① 「架かる」の場合: → 絵本の中の「川の上にかかっている橋」のイラストを見せながら、「橋は両側をつなぐ大切なものだよ」と説明。
  • ② 「掛かる」の場合: → 「時計が壁に掛かっている」や「洗濯物が物干しに掛かっている」といった実際に目にする例を用いて説明。
  • ③ 「懸かる」の場合: → 「命がかかっているときは、みんなで気をつけないといけないよ」と、危険な状況を抽象的に伝える。
  • ④ 「係る」の場合: → 学校やイベントでの「係」の例(例:運動会の係の先生)を挙げ、「その先生は運動会全体に関わっているんだよ」と説明。
  • ⑤「罹る」の場合: →風邪をひいた時の事などを例に挙げ、「かかる」という言葉は他にも使われるけど、「罹る」は特に病気になったときに使うんだよ、と説明。

ポイントは、できるだけ具体的な例やイラスト、実際のシーンを見せることで、子供もイメージしやすくなる点です。

 

7. 英語など他の言語での表現

日本語の「掛かる」「懸かる」「架かる」「係る」は、それぞれ異なるニュアンスを持ちますが、英語などの他の言語では、より明確に区別された単語に置き換えられることが多いです。以下に、それぞれの表現の英語訳や他の言語での対比を示します。

【掛かる】

英語:

  • to hang(ぶら下がる)
    • 例: The painting hangs on the wall.(絵が壁に掛かっている。)
  • to take (time/money)(時間や費用がかかる)
    • 例: This project will take a long time.(このプロジェクトは時間が掛かる。)
  • to be covered(作用が及ぶ)
    • 例: The road is covered in snow.(道路が雪で覆われている → 雪が掛かっている状態。)

中国語:

  • 挂 (guà)(ぶら下がる、吊るす)
  • 花费 (huāfèi)(時間やお金がかかる)

フランス語:

  • accrocher(掛ける、ぶら下げる)
  • prendre (du temps, de l’argent)(時間・費用が掛かる)

【懸かる】

英語:

  • to be at stake(重要なものがかかっている)
    • 例: In this match, the championship is at stake.(この試合には、チャンピオンの座が懸かっている。)
  • to be risked(命や名誉が懸かる)
    • 例: His life is at risk.(彼の命が懸かっている。)

中国語:

  • 关系到 (guānxì dào)(命や大切なものが関係している)
  • 赌 (dǔ)(賭ける)

フランス語:

  • être en jeu(何かが懸かっている、大事なものがリスクにさらされている)

【架かる】

英語:

  • to span(橋や電線がかかる)
    • 例: The bridge spans the river.(橋が川に架かる。)
  • to be suspended across(物理的に上を渡る)
    • 例: The cable is suspended across the valley.(ケーブルが谷に架かっている。)

中国語:

  • 架设 (jiàshè)(橋や電線などを設置する)

フランス語:

  • enjamber(橋などがまたぐ)

【係る】

英語:

  • to be related to(関連する)
    • 例: All issues related to the accident will be investigated.(事故に係る全ての事柄は調査される。)
  • to be in charge of(担当する)
    • 例: She is in charge of the reception desk.(彼女は受付係です。)

中国語:

  • 涉及 (shèjí)(関係する、関連する)

フランス語:

  • se rapporter à(関連する)
  • être responsable de(担当する)

【罹る】

「罹る」は、主に病気や災害にかかることを指すため、英語では以下のような表現が適しています。

1. 病気に罹る

  • to catch (a disease)(風邪やインフルエンザなどの病気に罹る)
    • 例: He caught a cold.(彼は風邪に罹った。)
    • 例: She caught the flu.(彼女はインフルエンザに罹った。)
  • to contract (a disease)(感染症や重い病気に罹る)
    • 例: He contracted malaria while traveling.(彼は旅行中にマラリアに罹った。)
    • 例: She contracted COVID-19 last year.(彼女は昨年、新型コロナウイルスに罹った。)
  • to be infected with(感染する)
    • 例: He was infected with the virus.(彼はそのウイルスに感染した。)
    • 例: The entire village was infected with the disease.(村全体がその病気に感染した。)

2. 災害や被害に罹る

  • to suffer from(病気や災害などの影響を受ける)
    • 例: The town suffered from a flood.(その町は洪水の被害に罹った。)
    • 例: He suffered from a serious illness.(彼は重い病気に罹った。)
  • to be affected by(影響を受ける)
    • 例: Many people were affected by the earthquake.(多くの人々が地震の被害に罹った。)
    • 例: The city was affected by the epidemic.(その都市は疫病の影響を受けた。)

【ポイント】

  • 「catch」は軽い病気(風邪など)に使う。
  • 「contract」は感染症や重い病気(マラリア、HIVなど)に使う。
  • 「suffer from」は病気だけでなく災害や精神的苦痛にも使える。
  • 「be infected with」は感染にフォーカスした表現。

これらの表現を使い分けることで、「罹る」の英語訳を正しく伝えることができます。

 

7. おわりに

「掛かる」「懸かる」「架かる」「係る」「罹る」は、一見すると同じ「かかる」と読めるものの、漢字によって全く異なる意味を持ちます。物理的な動作、時間や費用、危険性、及び人や事柄との関わりなど、場面に合わせた適切な漢字選択は、日本語の表現力をより豊かにします。

実際の例文や具体的なシチュエーションをご確認いただきながら、正しい使い分けを学び、子供にもわかりやすく伝えることが大切です。また、英語など他の言語との対応を理解することで、言葉の背景にある文化や特徴にも気づくことができるでしょう。

【出典】

  • Weblio国語辞書、および類似表現の解説記事
  • goo辞書、わかりやすい例文サイト
  • Kotobank(コトバンク)に掲載されている解説記事
  • 各種教育関連ブログ記事および学校の作文指導資料
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