「稼働」「稼動」「可動」の違いとは?意味・使い分けをわかりやすく解説

おなじ読みで、ちがう意味

日本語には、同じ読み方でも漢字が異なるため意味が微妙に違う言葉がたくさんあります。「稼働」「稼動」「可動」もその一例で、いずれも「かどう」と読みますが、それぞれ意味や使い方が異なります。日本語学習者の方や雑学好きの大人でも、この3つの使い分けに悩むことがあるでしょう。そこで、本記事では「稼働」「稼動」「可動」の違いについて、各語の意味や語源、歴史、そして正しい使い分け方をわかりやすく解説します。例文やよくある誤用も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

「稼働」の意味と使い方

まず、「稼働」という言葉から見ていきましょう。「稼働(かどう)」には大きく分けて2つの意味があります (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。1つ目は**「稼ぎ働くこと」**、つまり人が仕事をして収入を得るという意味です。この場合、「稼働日数」「稼働人口」など人に関する場面で使われます (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。例えば「今月の稼働日数は20日です」のように、人が実際に働いた日数を表す場面です。

2つ目の意味は**「機械が動いて仕事をすること」**です (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。工場やシステムなどの機械・設備が運転して動作する状態を指し、「エンジンが稼働する」「工場設備をフル稼働させる」のように使われます。「稼働中」「稼働停止」といった言い方で、機械が現在動いているかどうかを表現することもできます。

「稼働」という言葉は、現代では主にビジネスや工業の文脈で、システムや機械が正常に動いていることを表す際によく使われます (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。例えば「新しいシステムが無事に稼働しました」のように、新しく導入したシステムが問題なく動き始めたことを報告する場面で使われます。また、「現場はフル稼働している」「工場の機械を24時間稼働させる」など、機械や人員を最大限に動かしている状況を表す場合にも用いられます。

「稼ぐ」と「働く」の漢字の由来(豆知識)

ここで少し豆知識です。「稼働」の漢字を分解すると「稼」と「働」ですが、それぞれの漢字には面白い由来があります。「稼」という漢字本来の意味は「穀物を植えて育てること」、つまり農業収穫を表すものでした (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。日本語で「かせぐ(稼ぐ)」と読むのは漢字本来の意味から派生した国訓と呼ばれるもので、本来はお金の意味ではなかったのです (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。一方、「働」という漢字は人偏(にんべん)が付いていることからも分かるように、人が動いて働くことを示す字です (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。実は「働」は日本で作られた国字(こくじ)で、中国にはもともと存在しなかった漢字です (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。つまり、「稼働」という言葉は「農業で稼ぎ、そして人が働く」という漢字の成り立ちを持っており、単に動くだけでなく働いて成果を上げるニュアンスが含まれていると言えます (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。

「稼動」の意味と使い方

続いて、「稼動」という言葉を見てみましょう。「稼動(かどう)」も読み方も意味も「稼働」とほとんど同じ言葉です (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。辞書においても「稼働」と「稼動」は同じ項目で扱われ、人が働くことと機械が動くことの両方を表すとされています (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。したがって、「稼動」と書いても基本的には「稼働」と同じ意味になります。例えば「工場は24時間稼動している」「予備のサーバーが稼動中だ」というように、機械が運転・動作している状態を指して使うことができます。

では「稼働」と「稼動」をどう使い分ければよいのでしょうか?実は漢字から受ける印象に若干の違いがあります。「働」という字は前述したように人が働くことを示すため、「稼働」は人間が仕事をする場合に使うのが本来のイメージです。一方で「動」は文字通り「動く」という意味の漢字なので、「稼動」は機械が動く場合に使うという分け方がよく紹介されます (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書) (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。実際、語源から考えると「稼働」は“人が(農業で)働くこと”、「稼動」は“機械が(農業で)働くこと”という違いがあると解説されることもあります (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。

しかし、現代の日本語においてはこの2つを明確に使い分けるのは難しいのが実情です (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。なぜなら、人間が動かしている機械について言及する場合など、どちらの漢字を使うべきか迷う場面が出てくるからです。例えば、「原発の再(稼働/稼動)を進める」という文章では、人も機械も関与して稼働しているため、「再稼働」と「再稼動」のどちらを書くべきか判断に迷うところです (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。こうした混乱を避けるため、新聞やテレビなどのメディアでは意味に関わらず表記を「稼働」に統一するのが一般的です (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。つまり、ニュース記事などでは「稼動」という表記は使わず、すべて「稼働」で書かれています。

この流れは一般社会でも同様で、多くの文書やビジネスの場では「稼働」が使われる傾向にあります (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。そのため、迷ったときは「稼働」を使っておけば間違いありません (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。実際のところ話し言葉では区別しようがないため、書き言葉でも統一してしまった方が合理的だということなのでしょう。

一点補足すると、「稼働」という言葉自体、ビジネスでは主に機械について使う場面が多いです。人が働く場合には別の言葉「労働」を使うことが一般的で、「労働」は「労働」と書き「労動」とは書きません。これと同じ発想で、「稼働」に統一されているとも考えられます (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。要するに、「稼動」の方を使うケースが減ってきており、現在では**「稼働」の方が一般的**だと言えるでしょう (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。

「可動」の意味と使い方

最後に、「可動」という言葉について解説します。「可動(かどう)」も「稼働/稼動」と同じ読みですが、その意味は大きく異なります。「可動」とは**「動かすことができること」、つまり動く能力がある状態**を意味します (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。文字通り、「可」は「可能」や「不可」のように「〜できる」という意味を持つ漢字で、「動」は「うごく」という意味なので、「動かすことが可能」という意味合いになるわけです (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。

「可動」は主に物理的な動きについて使われる言葉です (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。例えば「可動式」のように後ろに「〜式」を付けて、「可動式扉(動かすことのできるドア)」「可動式のアーム(動かせる腕)」といった表現で用います (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。また人体の文脈では「可動域」や「可動範囲」という言い方もします。これは「動かせる範囲」という意味で、例えば「リハビリで肩の可動域を広げる」のように使います。ロボットや模型の分野でも「可動」は頻繁に使われます。おもちゃのフィギュアが関節部分を動かせる場合に「このフィギュアは可動部分が多い」と言ったり、技術仕様で「ロボットの可動範囲を拡大する」と言ったりします。

一方、「稼働/稼動」は先述の通り「仕事(作業)をする・動作する」ニュアンスでしたが、「可動」は**「動作しているかどうか」ではなく「動かせるかどうか」**という可能の状態に焦点を当てた言葉です (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。したがって、「可動」は「稼働/稼動」とは混同しないように注意が必要です (「稼働」「稼動」「可動」の意味の違いと使い分け – WURK[ワーク]) (「稼働」「稼動」「可動」どう使い分ける?意味や違いを詳しく解説! | ハッピースリープ)。例えば、システムが実際に動いていることを言いたいときには「システムが稼働している」と言いますが、「可動している」とは言いません。「可動」という言葉はあくまで「動かせる状態」に対して使います。

**「稼働率」という言葉がありますが、これと混同しやすいのが「可動率」です (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。どちらも「かどうりつ」と読むため紛らわしいですが、意味は異なります。稼働率とは、ある設備や機械が実際に運転していた割合を指します。例えば工場の設備の稼働率なら、「総運転可能時間に対して実際に動いていた時間の割合」という意味になります。一方、可動率とは「いざ稼働させたいときに正常に動かせた割合」のことです (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。平たく言えば、可動率は機械の稼働可能な状態の健全さ(可動状態の維持率)**を表す指標です。例えば設備トラブルが全く無く、動かしたいときいつでも動かせるなら可動率は100%ということになります。逆に故障などで「動かしたいのに動かせない」ケースがあると可動率が下がりますが、その時間はそもそも稼働していないので稼働率には影響しない、という違いがあります。このように「稼働率」と「可動率」は明確に異なる概念なので、使い分けに注意しましょう。

まとめ:3つの「かどう」の使い分け方

以上、「稼働」「稼動」「可動」の違いを見てきました。ポイントを簡単にまとめます。

  • 稼働(かどう):人が働くことや機械が動いて仕事をすることを意味します。現在ではこちらの表記が一般的で、機械・人の両方に使われます。「現場をフル稼働させる」「今月の稼働日数」「システムが正常に稼働する」など。
  • 稼動(かどう):稼働と同義ですが、漢字のイメージから機械が動く場合に使われることが多い表記です。とはいえ現代ではあまり区別されず、公式な場面では「稼働」に統一される傾向があります (稼働と稼動の違いとは?可動の意味や使い分けも解説 | 国語力アップ.com)。「機械を増やして生産ラインを稼動させる」など。
  • 可動(かどう)動かすことができる状態を意味します (「稼働」「稼動」「可動」の意味と違い – 社会人の教科書)。実際に動いているかどうかではなく、「動かせる能力があるか」に着目した言葉です。「可動式」「可動部分」「可動範囲」などと使われ、「可動式家具(位置を変えられる家具)」「関節の可動域を広げる」などの例があります。

普段何気なく使っている言葉ですが、漢字に注目すると意味の違いが見えてきて面白いですね。特に「稼働」と「稼動」は見た目も意味もほとんど同じですが、歴史的には使い分けの議論があり、結果的に「稼働」に一本化されてきたという経緯があります。「可動」は全く別の意味なので、混同しないよう今回の解説を参考にしてください。正しい使い分けを知っていれば、日本語の表現力がアップし、文章作成もスムーズになるでしょう。

 

さいごに、「稼働」「稼動」「可動」の英語など他の言語での表現を紹介します。それぞれの言葉が持つ意味に対応する英語表現を整理し、他の言語(中国語・韓国語)での表現も補足します。


英語での表現

1. 稼働(かどう)/ 稼動(かどう)

「稼働」と「稼動」はほぼ同じ意味で、「機械やシステムが動作すること」や「仕事をすること」を指します。英語では、以下のような単語・表現が適しています。

機械やシステムが動作する

  • Operation(運転・操作・稼働)
    • 例:「システムが正常に稼働しています。」
      The system is operating normally.
    • 例:「この工場は24時間稼働している。」
      This factory operates 24 hours a day.
  • Working(動作中)
    • 例:「機械が稼働中です。」
      The machine is working.
  • Running(動作している)
    • 例:「サーバーは現在稼働中です。」
      The server is currently running.
  • Functioning(正常に機能する)
    • 例:「設備がフル稼働している。」
      The equipment is functioning at full capacity.

人が働く(労働としての稼働)

  • Working(働く)
    • 例:「今月の稼働日数は20日です。」
      The number of working days this month is 20.
  • Engaged in work(仕事に従事している)
    • 例:「従業員の稼働率が低下している。」
      The employees’ work engagement rate is declining.
  • Utilization rate(稼働率)
    • 例:「この設備の稼働率は90%です。」
      The utilization rate of this equipment is 90%.

2. 可動(かどう)

「可動」は「動かすことが可能な状態」という意味なので、英語では以下のような表現が適します。

「可動(動かせる)」の英訳

  • Movable(移動可能な)
    • 例:「この椅子は可動式です。」
      This chair is movable.
  • Adjustable(調整可能な)
    • 例:「この机は可動式です。」
      This desk is adjustable.
  • Flexible(柔軟に動かせる)
    • 例:「可動式アーム」
      Flexible arm.
  • Articulated(関節がある・可動部がある)
    • 例:「このロボットの腕は可動式です。」
      The robot’s arms are articulated.
  • Range of motion(可動域)
    • 例:「肩の可動域を広げる。」
      Expand the range of motion of the shoulder.
  • Operable(操作可能な)
    • 例:「この機械はリモコンで可動する。」
      This machine is operable via remote control.

中国語での表現

1. 稼働 / 稼動

中国語では「稼働」は主に機械やシステムの動作を表す言葉として使われます。

  • 稼动(jià dòng)(ほぼ日本語と同じ意味だが、あまり使われない)
  • 运作(yùnzuò)(機械やシステムが動作する)
    • 例:「システムが正常に稼働しています。」
      系统正常运作。
  • 运行(yùnxíng)(運転・稼働する)
    • 例:「エンジンが稼働している。」
      引擎正在运行。
  • 工作(gōngzuò)(人が働くこと)
    • 例:「今月の稼働日数は20日です。」
      本月的工作天数是20天。

2. 可動

  • 可动(kě dòng)(動かせる)
    • 例:「この装置は可動式です。」
      这个设备是可动的。
  • 移动式(yídòngshì)(移動式の)
    • 例:「可動式の机」
      移动式桌子。
  • 活动(huódòng)(可動する、調整可能な)
    • 例:「この関節は可動する。」
      这个关节是活动的。
  • 可调(kětiáo)(調整可能な)
    • 例:「可動域を広げる。」
      扩大可调范围。

韓国語での表現

1. 稼働 / 稼動

韓国語でも「稼働」は主に機械やシステムが動くことを指し、人が働くことにも使えます。

  • 가동(稼働, gadong)(機械が動く)
    • 例:「この工場は24時間稼働している。」
      이 공장은 24시간 가동 중입니다.
    • 例:「エンジンが稼働している。」
      엔진이 가동되고 있다.
  • 운영(運営, unyeong)(システムや設備が動作する)
    • 例:「システムが正常に稼働しています。」
      시스템이 정상적으로 운영되고 있습니다.
  • 작동(作動, jakdong)(機械が動く)
    • 例:「ボタンを押すとシステムが稼働します。」
      버튼을 누르면 시스템이 작동합니다.
  • 근무(勤務, geunmu)(人が働く)
    • 例:「今月の稼働日数は20日です。」
      이번 달의 근무 일수는 20일입니다.

2. 可動

  • 가동(可動, gadong)(動かすことが可能)
    • 例:「この機械は可動式です。」
      이 기계는 가동식입니다.
  • 이동식(移動式, idongsik)(移動可能)
    • 例:「可動式の家具」
      이동식 가구.
  • 조절 가능(調節可能, jojol ganeung)(調整できる)
    • 例:「可動式アーム」
      조절 가능한 팔.
  • 가동 범위(可動範囲, gadong beomwi)(可動域)
    • 例:「肩の可動域を広げる。」
      어깨의 가동 범위를 넓히다.

まとめ

  • 「稼働/稼動」英語:operation, running, functioning / 中国語:运作, 运行 / 韓国語:가동, 작동
  • 「可動」英語:movable, adjustable, operable / 中国語:可动, 活动 / 韓国語:가동, 이동식, 조절 가능

これらの表現を知っておくと、外国語で「稼働」「可動」の違いを説明するときに便利ですね!

出典

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