「閲覧」と「観覧」の違いは?住民基本台帳法は「閲覧」だけ、文化財保護法は「観覧」だけだった

正しい読み方、つづり方

「資料をえつらんする」「美術館で作品をかんらんする」。
「閲覧」と「観覧」は、どちらも「見る」ことを言う言葉ですが、どう使い分ければいいのか迷うことがあります。

結論を先にお伝えすると、「閲覧」は書類や記録、ウェブページなどに目を通して内容を読み調べること、「観覧」は展示や催し、景色などを見物することです。

法令で数えると、差ははっきりしていました。現行の法令で「閲覧」は6,849件、「観覧」は94件。
住民基本台帳法は「閲覧」を67回使って「観覧」は0回、文化財保護法は反対に「観覧」を8回使って「閲覧」は0回でした。さらに法令には、もう1つの「見せる」言葉「縦覧」が2,144件あります。

この記事では、常用漢字表と、法令の件数・条文をそのまま示しながら整理します。

「閲覧」と「観覧」の違いは?結論から

  • 閲覧(えつらん)… 書類・記録・本・ウェブページなどに目を通して読み調べること(例:住民基本台帳の閲覧、資料を閲覧する、ホームページを閲覧する)
  • 観覧(かんらん)… 展示・催し・競技・景色などを見物すること(例:重要文化財を観覧に供する、観覧料、観覧席)

見分け方は、見る相手が「読むもの」か「見物するもの」かです。
文字や記録を読んで内容を確かめるなら「閲覧」、展示や催しを眺めて楽しむなら「観覧」と考えると分かりやすくなります。

ここから、その根拠を順に見ていきます。

常用漢字表で見る:「閲」の例に「閲覧」、「覧」の例に「観覧」

国が定めた常用漢字表で、4つの字の読みと例を確かめました。

  • … 音:エツ。例:閲覧,閲歴,校閲
  • … 音:カン。例:観察,客観,壮観
  • … 音:ラン。例:観覧,展覧,一覧
  • … 音:ジュウ。例:縦横,縦断,操縦/訓:たて。例:縦

出典:常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)本表/2026年9月21日確認

「閲覧」は「閲」の例に、「観覧」は「覧」の例に、どちらもそのまま挙がっています。
「閲」の例に並ぶ「校閲」は、文章を読んで誤りを直すこと。「閲」は文字を読んで調べる側の字です。「観」の例の「観察」「壮観」は、ものの様子を眺める言葉です。

読み方は、「閲覧」が「エツ+ラン」でえつらん、「観覧」が「カン+ラン」でかんらんです。

法令の数字:「閲覧」6,849件、「観覧」94件

では、実際の法令ではどう使われているのか。e-Gov法令検索で、現行の法令を横断検索しました(2026年9月21日確認)。

  • 閲覧 … 6,849件
  • 縦覧 … 2,144件
  • 観覧 … 94件

件数は、その言葉を含む箇所の数です

「閲覧」は「観覧」の70倍以上です。言い回しで比べると、その理由が見えてきます。

言い回しで比べる

  • 閲覧に供 … 1,558件/観覧に供 … 31件
  • 閲覧させ … 361件/観覧させ … 2件
  • 閲覧の請求 … 591件/閲覧を請求 … 161件
  • 閲覧者 … 37件/観覧者 … 4件
  • 観覧料 … 4件/閲覧料 … 0件
  • 観覧席 … 4件/閲覧室 … 2件

e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

「閲覧の請求」「閲覧を請求」が合わせて700件以上あるのに対し、「観覧」を請求する言い回しは見当たりません。
法令の中の閲覧は、「見せてください」と請求するものとして書かれる場面が多く、観覧は観覧料を払って見物するものとして出てきます。

法令の件数から言葉の書き分けを確かめた話としては、「利用」と「使用」の違いは?もあわせてご覧ください。

「閲覧」は書類と記録:住民基本台帳法

「閲覧」を67回使い、「観覧」は1回も使っていないのが住民基本台帳法です。条文の見出しにも「閲覧」が入っています。

市町村長は、次に掲げる活動を行うために住民基本台帳の一部の写しを閲覧することが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、…

出典:住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第11条の2第1項(個人又は法人の申出による住民基本台帳の一部の写しの閲覧)の一部/e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

住民基本台帳という記録を見せるかどうか。申出があって、市町村長が「相当」と認めたときに見られる、という書き方です。
「閲覧」は、ただ眺めるのではなく、中身を読んで調べるために見る言葉として使われています。

著作権法は「ウェブページ」を閲覧で定義している

インターネットのページを見ることも、法律の上では「閲覧」です。

…ウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。…)…

出典:著作権法(昭和45年法律第48号)第113条の一部/e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

ウェブページを「情報の閲覧の用に供される電磁的記録」と定めています。ホームページやネットの記事を見るのは、「閲覧」が法律と同じ書き方です。

書類の形を言う言葉の書き分けは、「様式」と「書式」の違いは?でも取り上げています。

「観覧」は展示と催し:文化財保護法

反対に、「観覧」を8回使い、「閲覧」は1回も使っていないのが文化財保護法です。

重要文化財の所有者及び管理団体以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。…

出典:文化財保護法(昭和25年法律第214号)第53条第1項(所有者等以外の者による公開)の一部/e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

展覧会などの催しで文化財を見せることを「観覧に供する」と書いています。
同じ法律の第47条の2第3項は、「管理団体は、その管理する重要文化財を公開する場合には、当該重要文化財につき観覧料を徴収することができる。」と定めています。

建物の定義にも「観覧のための工作物」

建築基準法は、第2条第1号の「建築物」の定義の中に、「観覧のための工作物」を含めています。見物するための工作物も建築物に入る、という決まりです。

競技場の「グランドスタンド(観覧席)」の表記については、「グラウンド」と「グランド」はどっちが正しい?で取り上げています。

美術館の「観覧者」、博物館の「文化資源の観覧」

著作権法第47条は、美術作品などを展示する人が、観覧者のために作品の解説や紹介の小冊子を作れる、と定めています。博物館法第3条も、文化観光の説明の中で、文化資源を「観覧」することに触れています。
展示物を見に来た人は「観覧者」。書類を見に来た人は「閲覧者」(公職選挙法、住民基本台帳法など37件)です。

もう1つの「見せる」言葉:縦覧

法令には、「閲覧」「観覧」のほかに「縦覧」(じゅうらん)という言葉が2,144件あります。都市計画法は、都市計画の案をこう扱います。

都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該都市計画の案を、当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

出典:都市計画法(昭和43年法律第100号)第17条第1項(都市計画の案の縦覧等)/e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

公告をして、期間を決めて、公衆が見られるようにするのが「縦覧」です。
同じ都市計画法の第20条第2項には、「閲覧」と「縦覧」が1つの文の中に並んでいます。

都道府県知事及び市町村長は、国土交通省令で定めるところにより、前項の図書又はその写しを当該都道府県又は市町村の事務所に備え置いて一般の閲覧に供する方法その他の適切な方法により公衆の縦覧に供しなければならない。

出典:都市計画法(昭和43年法律第100号)第20条第2項(都市計画の告示等)/e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

図書を事務所に置いて「一般の閲覧に供する」。そうした方法で、公衆の「縦覧に供する」。
条文の組み立てから見ると、「縦覧」は広く公衆に見せる仕組み、「閲覧」はその中で人が実際に書類に目を通すこととして使い分けられています。

  • 縦覧に供 … 963件
  • 閲覧に供 … 1,558件
  • 観覧に供 … 31件

e-Gov法令検索にて2026年9月21日確認

人を集めて見せる催しの言葉としては、「講義」と「講議」はどっちが正しい?で取り上げた、社会教育法の「講習会、講演会、展示会」の並びもあわせてご覧ください。

迷ったときの使い分け

読んで調べるなら「閲覧」

書類、記録、帳簿、名簿、本、ウェブページなど、文字や情報を読んで内容を確かめるときは「閲覧」です。「住民票の閲覧」「資料の閲覧」「ホームページの閲覧」が当てはまります。

見物して楽しむなら「観覧」

展示、演劇、競技、花火、景色など、その場に行って眺めるときは「観覧」です。「文化財の観覧」「観覧料」「観覧席」が当てはまります。

広く公衆に見せる仕組みなら「縦覧」

役所が公告して、期間を決めてだれでも見られるようにする場合は、法令では「縦覧」と書きます。

場面ごとの例

  • 閲覧 … 住民基本台帳の一部の写しの閲覧/議事録を閲覧する/ホームページを閲覧する/閲覧者
  • 観覧 … 重要文化財を観覧に供する/観覧料/観覧席/観覧者
  • 縦覧 … 都市計画の案を公衆の縦覧に供する(2週間)

迷ったら、「文字を読むのか、眺めるのか」を考えます。読むなら「閲覧」、眺めるなら「観覧」を選べば、法令と同じ書き方になります。

よくある質問

「インターネットを観覧する」は正しいですか

法律と同じ書き方にするなら「閲覧」です。著作権法第113条は、ウェブページを「インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録」と定めています。

「閲覧注意」と「観覧注意」はどちらですか

どちらも法令には出てこない言葉ですが、画像や記事などを見る人への注意という意味では、ウェブページを見る言葉である「閲覧」を使った「閲覧注意」が合います。「観覧注意」は、展示や催しを見物する場面の言葉になってしまいます。

「閲覧」と「観覧」は読み方が違いますか

「閲覧」は「えつらん」、「観覧」は「かんらん」です。常用漢字表で、「閲」の音は「エツ」、「観」の音は「カン」、「覧」の音は「ラン」とされています。

「観覧」と「鑑賞」「観賞」はどう違いますか

法令での使われ方を見ると、「鑑賞」は「美術品を鑑賞する機会」「音楽の鑑賞」のように芸術を味わう場面、「観賞」は「観賞用の魚」「観賞用の植物」のように眺めて楽しむものに使われていました。花きの振興に関する法律は、「花き」を「観賞の用に供される植物」と定めています。件数は「鑑賞」52件、「観賞」39件、「観覧」94件でした。

「閲覧」と「縦覧」はどう違いますか

法令では、「縦覧」は公告をして期間を決め、広く公衆に見せる仕組みに使われています(都市計画法第17条では2週間)。「閲覧」は、その中で人が実際に書類に目を通すことや、請求して記録を見せてもらうことに使われています。

図書館で本を見るのは「閲覧」ですか

はい。本の内容を読むので「閲覧」です。図書館法第3条も、図書館の仕事として「閲覧所」の設置を挙げています。

まとめ

「閲覧」は書類や記録、ウェブページなどに目を通して読み調べること、「観覧」は展示や催し、景色などを見物することです。
常用漢字表でも、「閲」の例に「閲覧,閲歴,校閲」、「覧」の例に「観覧,展覧,一覧」が挙がっています。

法令では「閲覧」が6,849件、「観覧」が94件。住民基本台帳法は「閲覧」だけ、文化財保護法は「観覧」だけを使っていました。
さらに法令には、公衆に広く見せる仕組みを言う「縦覧」が2,144件あり、都市計画法は「一般の閲覧に供する方法…により公衆の縦覧に供しなければならない」と書き分けています。

読むなら「閲覧」、眺めるなら「観覧」と覚えておけば、迷わずに書き分けられます。

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