「別紙」と「別添」の違いは?法令に「別紙」は3,248件、「別添」は3件しかなかった

正しい読み方、つづり方

「詳細は別紙のとおり」「資料を別添します」。
「別紙」と「別添」は、どちらも本文とは別に付ける書類を指す言葉ですが、どちらを書けばよいのか迷います。

結論を先にお伝えすると、「別紙」は本文と一体で、本文の一部として読ませる紙、「別添」は本文とは別に成り立っている文書をそのまま付けたものです。

法令で数えると、差は極端でした。現行の法令で「別紙」は3,248件、「別添」はわずか3件。
しかも「別紙」の大半は「別紙様式」という様式の名前で、出てくるのはほとんどが省令でした。一方の「別添」3件は、告示や条約など外にある文書を指すときに使われています。

この記事では、常用漢字表と、法令の件数・条文をそのまま示しながら整理します。「別表」「別記」「添付」との関係にも触れます。

「別紙」と「別添」の違いは?結論から

  • 別紙(べっし)… 本文と一体のものとして読ませる紙。本文の中で「別紙のとおり」と指し示し、本文と一緒に1つの文書を作る(例:別紙様式第二、別紙第一号書式)
  • 別添(べってん)… 別に成り立っている文書をそのまま添えること。もとの文書は、それ自体で完結している(例:告示の別添、協定の別添)

見分け方は、付ける紙が単独で意味をなすかどうかです。
本文がなければ読めない表や様式なら「別紙」、それだけで独立した報告書やパンフレットなら「別添」と考えると分かりやすくなります。

ここから、その根拠を順に見ていきます。

常用漢字表で見る:「添」の例に「添付」

国が定めた常用漢字表で、関係する字の読みと例を確かめました。

  • 別 … 音:ベツ。例:別離,区別,特別/訓:わかれる。例:別れる,別れ
  • 紙 … 音:シ。例:紙面,用紙,新聞紙/訓:かみ。例:紙,紙くず,厚紙
  • 添 … 音:テン。例:添加,添付,添削/訓:そえる。例:添える,添え手紙/訓:そう。例:添う,付き添う
  • 表 … 音:ヒョウ。例:表面,代表,発表
  • 記 … 音:キ。例:記入,記号,伝記/訓:しるす。例:記す

出典:常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)本表/2026年9月25日確認

「添」の訓は「そえる」「そう」で、例には「添える」「添え手紙」「付き添う」が挙がっています。何かに寄り添わせる動きが訓に出ている字です。「紙」のほうは訓が「かみ」で、紙そのものを指します。

法令の数字:「別紙」3,248件、「別添」3件

次に、現行の法令を全文検索して件数を数えました。

  • 別紙 … 3,248件/別添 … 3件
  • 別表 … 28,766件/別記 … 6,974件/添付 … 16,274件

出典:e-Gov法令検索(現行法令の全文検索)/2026年9月25日確認

1,000倍以上の差です。法令が本文の外に置くものを指すときは、「別表」「別記」「別紙」がほとんどで、「別添」はほぼ使われていません。
ちなみに法令の題名に入るのは「別表」30本と「添付」3本だけで、題名に「別紙」「別添」「別記」が入る法令は1本もありませんでした。

「別紙」の大半は「別紙様式」

ただし、法令の「別紙」は日常語の使い方とは少し違いました。内訳を数えると、こうなります。

  • 別紙様式 … 2,851件(「別紙」3,248件のうち)
  • 別紙第 … 317件(別紙第一号書式など)

出典:e-Gov法令検索/2026年9月25日確認

つまり法令の「別紙」は、ほとんどが「別紙様式第一」「別紙様式第二」という、書類の型につけた名前です。たとえば消費生活協同組合法施行規則(昭和23年大蔵省・法務庁・厚生省・農林省令第1号)第257条は、こう定めています。

法第十二条の二第三項において準用する保険業法第三百十一条第一項の証票及び法第九十四条第七項の証明書の様式は、別紙様式第二のとおりとする。

消費生活協同組合法施行規則 第257条(職員の身分を示す証票及び証明書)

1つの語が決まった言い回しに集中する形は、「療養」と「静養」の違いは?でも見られました(「静養」56件のうち52件が「静養室」)。
なお「様式」と「書式」の使い分けは、「様式」と「書式」の違いは?で詳しく数えています。

「別紙第◯号様式」「別紙第◯号書式」という形もある

「別紙第」という形も317件あります。たとえば税理士法施行規則(昭和26年大蔵省令第55号)は「税理士証票は、別紙第七号様式により、淡青色とする。」と定めています。
書式のほうを使う例もあります。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二十三条第二項の証票の書式は、別紙第一号書式とする。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第二十三条第二項の証票の書式を定める省令(昭和31年大蔵省令第35号)

どちらも、証票という紙そのものの形を「別紙」で指しています。

「別紙」が出てくるのは、ほとんど省令

「別紙」を含む条文を全部取り出すと、275本の法令にまたがっていました。その内訳がはっきりしています。取り出した3,250件の文のうち、3,236件が省令で、法律は3件、政令は2件しかありません。

多い順では、農業協同組合法施行規則67、農林中央金庫法施行規則64、貸金業法施行規則55、信託業法施行規則50。金融関係の省令が並びます。「別紙」は、細かい書類の型を定める省令の言葉でした。
省令や規程といった決まりの呼び分けについては、「規定」と「規程」の違いは?で取り上げています。

「別添」はたった3件しかない

では「別添」の3件はどこにあるのか。全部確かめました。

  • 道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)… 「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)別添」として、別の告示の一部を指している
  • 経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令(平成17年政令第35号)… 「スイス協定附属書一の付録一の別添」として、条約の一部を指している
  • 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則(平成12年法務省令第28号)第10条 … 「別添様式」

出典:e-Gov法令検索で「別添」を全件取得/2026年9月25日確認

3件のうち2件は、その法令の外にある文書(告示・条約)の一部を指すために使われています。もともと別に成り立っている文書を指すのが「別添」だ、という感覚と合います。

同じ「身分証明書の様式」を、別紙と別添で書いている

残る1件が面白いところです。電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則第10条は、こう定めています。

法第十二条第二項の証明書は、別添様式によるものとする。

電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則 第10条(身分を示す証明書)

先ほどの消費生活協同組合法施行規則第257条と見比べてください。どちらも「身分を示す証明書の様式」を定めた条文なのに、片方は「別紙様式」、もう片方は「別添様式」と書いています。
同じ役割の条文でも役所によって語が分かれることがある、という例です。ただし数の上では、「別紙様式」2,851件に対して「別添様式」はこの1件だけでした。

明治の布告に残る、本来の「別紙」

日常語に近い「別紙のとおり」という使い方は、古い布告に残っています。明治5年太政官布告第337号(改暦ノ布告)は、こう書き出しています。

今般改暦ノ儀別紙詔書ノ通被仰出候条此旨相達候事

明治五年太政官布告第三百三十七号(改暦ノ布告)

改暦を告げた布告で、本体に詔書を「別紙」として添えています。明治14年太政官布告第63号(褒章条例)も「褒章条例別紙ノ通相定来明治十五年一月一日ヨリ之ヲ施行ス」と書いていて、条例の中身そのものが別紙に置かれています。

本文で「別紙のとおり」と指し示し、中身は別の紙に書く。これが「別紙」のもともとの形です。今の官公庁の文書でもこの形は生きていて、たとえば内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」は、中身を「別紙」に置いた構成になっています。

似た言葉:別表・別記・添付

別表 … 28,766件。題名に入るものもある

法令で圧倒的に多いのは「別表」です。「別表第」という形だけで23,497件あり、題名に「別表」が入る法令も30本あります。数値や品目を一覧にして本文の後ろに置くときに使われます。

別記 … 6,974件。「別記様式」が4,811件

「別記」は6,974件で、そのうち4,811件が「別記様式」です。「別紙様式」2,851件と「別記様式」4,811件が、様式の呼び方として並び立っていることになります。

添付 … 16,274件

「添付」は16,274件で、「添付書類」だけで2,045件あります。こちらは書類を付ける行為そのものを指す言葉で、「別紙」「別添」のように付けたものの名前にはなっていません。題名に「添付」が入る法令は3本ありました。

迷ったときの使い分け

本文と一体なら「別紙」

表や様式のように、本文がなければ意味をなさないものを付けるなら「別紙」です。本文で「別紙のとおり」と指し示し、全体で1つの文書として扱います。

独立した文書をそのまま付けるなら「別添」

すでに出来上がっている報告書やパンフレット、他の役所が出した告示などをそのまま付けるなら「別添」です。法令でも、別の告示や条約を指すときに使われていました。

場面ごとの例

  • 申請書の様式を条文で指定する … 別紙様式第一
  • 本文で示した内訳を一覧にして付ける … 別紙のとおり
  • 数値や品目を一覧にして法令の後ろに置く … 別表第一
  • すでにある調査報告書をそのまま付ける … 別添のとおり
  • 書類を付ける行為そのものを言う … 添付する

よくある質問

「別紙」と「別添」の読み方を教えてください

「別紙」は「べっし」、「別添」は「べってん」です。常用漢字表で、「別」の音は「ベツ」、「紙」の音は「シ」、「添」の音は「テン」とされています。

「別添」は誤った言葉ですか

いいえ。現行の法令では3件しかありませんが、誤りというわけではありません。国の告示や条約では、本体に付ける文書を「別添」と呼んでいて、道路交通法施行規則もその告示の別添を引用しています。日常のビジネス文書でも広く使われています。

契約書ではどちらを使いますか

条文から言えるのは、本文と一体で読ませる様式や一覧なら「別紙」、独立した文書をそのまま付けるなら「別添」という区別です。法令の書き方にならうなら、契約書の中で条件や仕様を定めて本文から指し示すものは「別紙」が合います。

「別紙」と「別表」はどう違いますか

法令では「別表」が28,766件、「別紙」が3,248件です。「別表」は数値や品目を並べた一覧に使われ、「別紙」はほとんどが「別紙様式」という書類の型の名前でした。題名に入るのは「別表」だけで30本あります。

「別紙」と「添付」はどう違いますか

「添付」は書類を付ける行為を指す言葉です(16,274件。うち「添付書類」2,045件)。「別紙」は付けた紙そのものの名前なので、役割が違います。「別紙を添付する」のように、両方を並べて使うこともできます。

法令の言葉が片方に偏っているのは珍しいことですか

珍しくありません。たとえば「措置」と「処置」は151,259件対1,014件で、法令の題名に入るものは1,355本対1本でした。詳しくは「措置」と「処置」の違いは?で数えています。

まとめ

「別紙」は本文と一体で読ませる紙、「別添」は別に成り立っている文書をそのまま添えたものです。
常用漢字表でも、「添」の訓は「そえる」「そう」で、あるものに寄り添わせる字だと分かります。

法令では「別紙」が3,248件、「別添」はわずか3件。「別紙」の大半は「別紙様式」という書類の型の名前で、出てくるのはほとんど省令でした。「別添」の3件は、告示や条約という外にある文書を指すために使われています。同じ「身分証明書の様式」を、片方は「別紙様式」、もう片方は「別添様式」と書いた省令も見つかりました。

本文と一体なら「別紙」、独立した文書なら「別添」と覚えておけば、迷わずに書き分けられます。

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