障泥烏賊 なんて読む?

難読漢字

 

「障泥烏賊」という漢字の由来

アオリイカは漢字で「障泥烏賊」と書きます。一見とても読めませんが、「障泥(あおり)」+「烏賊(いか)」と分けることができます。実はこの名前、アオリイカのヒレの形と色に由来しています。 (アオリイカ – Wikipedia)「障泥」とは馬の鞍(くら)の側面下部や胴体に巻き付ける泥除けの馬具のことで、その革製の飾り布が「あおり」と呼ばれていました。アオリイカの大きくて幅広いヒレが、その馬具の障泥に形と色が似ていること、さらにイカの足(腕)がちょうどその馬具を取り付ける紐のように見えることから、「あおりいか(障泥烏賊)」という和名になったと言われています (アオリイカ – Wikipedia)。ユニークな漢字ですが、昔の人の観察眼が光るネーミングですね。また、外見が熱帯植物の芭蕉(ばしょう)の葉に似ていることから「バショウイカ」と呼ぶ地域もあります (アオリイカ – Wikipedia)。このようにアオリイカは漢字や別名にも由来があり、名前の背景を知ると面白いものです。

アオリイカの基本情報

水中を泳ぐアオリイカ。半透明のボディと大きなヒレが美しいですね。
アオリイカ(あおりいか)は、日本近海に広く生息する大型のイカです (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)。胴(頭から胴体部分)の長さは最大で50~60cmにも達し、重さは5~6kg以上になるイカの王様とも呼ばれる存在です (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん) (アオリイカ – Wikipedia)。全身は丸みを帯びた筒状で、胴の縁をぐるりと囲むように幅広い半円形のヒレ(エンペラ)を持っているのが特徴です (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。温かい海域を好み、日本では本州以南の沿岸でよく見られますが、近年の海水温上昇により北海道沿岸でも生息が確認されています (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)。学名をSepioteuthis lessonianaといい、英名では「Bigfin Reef Squid(ビッグフィンリーフスクイッド)」と呼ばれます (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。地域によって呼び名も様々で、例えば沖縄ではシロイカ、本州西部や九州北部ではミズイカ、四国ではモイカなどとも呼ばれています (アオリイカ – Wikipedia)。いずれも同じアオリイカのことで、地域ごとの習慣で別名が使われているんですね。

似た見た目のコウイカとの違い

(コブシメ(コウイカ科)の無料の写真素材 – ID.88085|フリー素材 ぱくたそ) コウイカ科の一種(コブシメ)の写真。ずんぐりした胴体に小さめのヒレがついている。
アオリイカはその丸っこい胴体と大きなヒレの見た目から、一見するとコウイカ(甲イカ)の仲間にも思えます。しかし分類上はスルメイカなどと同じツツイカ目(=一般的なイカの仲間)に属し、コウイカとは異なるグループです (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)。最大の違いは体の中にある骨(貝殻)で、コウイカ類は体内に厚く硬い石灰質の甲(カラ)を持ちますが、アオリイカなどツツイカ類の甲は透明で柔らかい軟骨状です (コウイカ (スミイカ)の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説!| とともん) (アオリイカ – Wikipedia)。実際、アオリイカの体内にも「甲」と呼ばれる軟骨がありますが、コウイカのように硬い貝殻状ではなく薄く柔らかいものです。そのため昔から「石灰質の硬い甲を持つものをコウイカ目、柔らかい軟骨のものをツツイカ目に分類する」と簡単に言い表されたりします (コウイカ (スミイカ)の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説!| とともん)。またコウイカ(例えばスミイカ)は胴体がずんぐり丸くヒレも短いのに対し、アオリイカは胴がより細長くヒレが大きい点も外見上の違いです。要するに見た目は似ていても中身が違うのがアオリイカとコウイカの関係なのです。

 

アオリイカの特徴や習性

アオリイカはその立派な体格にふさわしく、生態も興味深いものがあります。寿命はわずか1~1年半程度と短いですが、その間に全長50cm近く・体重1kg以上にまで成長する驚異的なスピードを持っています (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)。生まれてから一年足らずで「イカの王様」と呼ばれるサイズに育つのですから、成長の早さには驚かされますね。またアオリイカは好奇心が強い生き物とも言われます (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)。水中でダイバーに遭遇すると興味深そうに近寄ってくることがあり、その大きな瞳でこちらをじっと見つめる姿はとても可愛らしいです。

春から初夏にかけて成熟したアオリイカは繁殖のため沿岸の浅場に集まり、海藻の茂る岩場や藻場に寒天質の卵を産み付けます (アオリイカ – Wikipedia)。卵は数週間で孵化し、孵った幼イカたちは夏の浅瀬で小魚やエビなどを捕食しながら成長します (アオリイカ – Wikipedia)。幼生期のアオリイカは落ち葉のように海中を漂う擬態行動を見せることもあり、その姿は自然界の不思議を感じさせます (アオリイカ – Wikipedia)。秋が深まる頃には体長15~20cmほどに育った若い個体が再び深場へ移動し、翌年には親イカとなって命を繋いでいきます (アオリイカ – Wikipedia)。

夜行性の傾向があり、日没後から夜間にかけて活発にエサを追いかけるのもアオリイカの習性です (アオリイカ – Wikipedia)。日中は岩陰などに静かに潜んでいることが多いですが、夕暮れ時になると浅場に現れ、小魚や甲殻類を素早い動きで捕食します。その際、体色を一瞬で変化させるカモフラージュ能力も発揮されます。アオリイカは皮膚の色素胞を使って周囲の環境に合わせた模様や色に変わることができ、敵から身を隠したり仲間や他の生物とコミュニケーションを取ったりすると考えられています。特にオスは興奮時に体に白い縞模様を浮かび上がらせることが知られており、メスにははっきり現れない模様なのでオスとメスの見分け方にもなります (アオリイカ – Wikipedia)。こうした行動や体の仕組みも、アオリイカを観察する上で面白いポイントです。

食用としての魅力や調理法

アオリイカは食材としても非常に人気があります。透き通った身は見た目にも美しく、新鮮なものは刺身にすると甘みと歯ごたえが格別です。肉厚ですが柔らかく、それでいて適度な弾力があり、噛むごとに強い甘みが感じられる絶品の味わいです (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。この食感と甘みの良さから「イカの中でも最高に美味」と評されることも多いです。お刺身以外にも寿司ネタとして握れば高級寿司種の一つになりますし、天ぷらや塩焼きにしても旨味が濃くて美味しいです。加熱しても身質が硬くなりすぎず柔らかさを保つため、バター焼きや炒め物、イカ墨を使ったパスタソースなど幅広い料理に使えます。

特に有名なのは透明なイカそうめん状にさばいた活き造りでしょう。佐賀県呼子(よぶこ)などイカの名所では、水槽で生かしておいたアオリイカ(地域名ミズイカ)を注文後に捌いて提供する活き造りが名物となっています。透明でコリコリした新鮮な刺身は、時間が経つと少し白く色が変わるほど鮮度命。ゲソ(足の部分)は後で天ぷらにするなど二度美味しい食べ方もよく楽しまれます。アオリイカは漁獲量がそれほど多くなく希少なため、市場やスーパーで見かけることは少ないですが、その分漁港近くの食堂や釣り人の特権グルメとして珍重されています (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。もし新鮮なアオリイカを手に入れる機会があれば、ぜひ刺身でその甘さを味わってみてください。

釣りの方法やシーズン

アオリイカは釣り人からも非常に人気のターゲットです。特にエギングと呼ばれる釣法では主役とも言える存在でしょう。エギングとは、**エビに似せた疑似餌「餌木(えぎ)」**を使ってイカを釣る方法で、竿をシャクってエギを踊らせイカに抱きつかせるアクティブな釣りです。実はこのエギによるイカ釣り、歴史は江戸時代後期まで遡るそうです。江戸時代、鹿児島県の屋久島や種子島の漁師が使っていた漁具がエギのルーツとされ、伝統のある釣法が現代に受け継がれているんですね (アオリイカ|旬のもの|暦生活 | 日本の季節を楽しむ暮らし) (アオリイカ|旬のもの|暦生活 | 日本の季節を楽しむ暮らし)。最近では専用のエギングロッドやカラフルなエギが多数販売され、初心者からベテランまで多くの釣り人がアオリイカ釣りを楽しんでいます。

釣りで狙うシーズンとしては、春と秋が二大チャンスです。春先(3月~5月頃)は産卵で浅場に寄ってきた大型の親イカが狙い目で、この時期のアオリイカは一年で最も大きく育っており食べごたえも抜群です (アオリイカ – Wikipedia)。特に4~5月頃は各地でエギング大会なども開かれ盛り上がります。一方、**秋(9~11月頃)**は春生まれの子イカが15~20cm前後に成長して数釣りが楽しめるシーズンです (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。秋のアオリイカは「新子(しんこ)」とも呼ばれ、サイズは中型ながら活性が高くエサを盛んに追うため、初心者でも比較的釣りやすい時期と言われます (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。夏場(6~8月)はオフシーズンと思われがちですが、実は水温が高い真夏にも深場や潮通しの良いポイントでは大型アオリイカが狙える穴場の時期です (アオリイカ|旬のもの|暦生活 | 日本の季節を楽しむ暮らし)。一年を通して釣ることができますが、やはり春と秋の盛り上がりは格別でしょう。

釣り方はエギング以外にも、生きた小魚をエサにしてアオリイカを誘い、掛かったら専用の仕掛け(ヤエン)を滑らせて引っ掛けるヤエン釣りなどもあります (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。地域によっては磯場での泳がせ釣り(活きエサの遊泳)、ボートからのティップランエギング(ボートエギング)など様々な手法が発展しています (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)。アオリイカは比較的浅場の岸近く(防波堤や砂浜、磯など)から狙えるため、道具さえ揃えれば手軽にチャレンジできるのも魅力です。夜間に灯りを使って集魚して釣る方法もあり、シーズン中は各地の漁港でライトを照らしてイカ釣りをしている光景が見られます。

文化や歴史にまつわるエピソード

アオリイカに関連する文化や歴史のエピソードも少なくありません。前述したエギによるイカ釣りが江戸時代から行われていたという話もその一つで、鹿児島の薩摩地方や沖縄の八重山諸島などには古くから伝わる独自の餌木作りの文化があります (アオリイカ|旬のもの|暦生活 | 日本の季節を楽しむ暮らし)。木や竹を削って魚やエビの形にし、布や錦で彩色した伝統的な餌木は、郷土玩具のような趣もあって興味深いです。現代のプラスチック製エギとは違った味わいがあり、地域の工芸品として展示されることもあります。

また、アオリイカは各地の郷土料理や食文化にも関わっています。例えば先述の呼子町のイカ活き造りは観光客にも有名で、透き通ったアオリイカの刺身は「呼子のイカ」として町おこしの顔になっています。他にも島根県隠岐の島ではアオリイカの干物「白いか一夜干し」が特産だったり、沖縄ではコブシメ(大型のコウイカ類)と並んでシロイカ(アオリイカ)が古くから食卓に親しまれていたりします。地域ごとにアオリイカにまつわる料理法や呼び名、伝承があるのは面白いですね。

さらに、イカに関する言葉遊びやことわざも日本文化に存在しますが、アオリイカ自体が登場するものとしては、大相撲の隠語で**「イカを決める」**なんて言葉があります。これは「勝負事で勝ったまま逃げ切る」ことを意味するそうですが、烏賊が墨を吐いて逃げる様子に由来するとか。ただしどちらかと言えばアオリイカよりスミイカ(墨を大量に吐くコウイカ類)のイメージかもしれませんね。このように些細な豆知識ですが、イカは古くから日本人にとって身近で、文化の中にも登場する生き物なのです。

その他の豆知識あれこれ


参考にしたサイト・文献

  1. とともん魚図鑑「アオリイカ(障泥烏賊)」特徴・生態・食べ方など【totomon.fish】 (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん) (アオリイカ 〖障泥烏賊〗の特徴・生態、食べ方や旬、料理を徹底解説! | とともん)
  2. 釣りのポイント記事「アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識」【point-i.jp】 (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント) (アオリイカの特徴とは?生息場所から生態まで釣りにも活かせる知識を解説! | 釣りのポイント)
  3. ウィキペディア「アオリイカ」 (アオリイカ – Wikipedia) (アオリイカ – Wikipedia)
  4. 暦生活(こよみせいかつ)コラム「アオリイカ(旬のもの)」吉村良太・2021年6月18日 (アオリイカ|旬のもの|暦生活 | 日本の季節を楽しむ暮らし)
  5. とともん魚図鑑「コウイカ(スミイカ)」特徴・生態・違いなど【totomon.fish】
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