「少しずつ」と書くべきか、「少しづつ」と書くべきか。
どちらも見たことがある形なので、変換のたびに迷います。
結論を先にお伝えすると、「ずつ」を使ってください。
内閣告示「現代仮名遣い」が「ずつ」を本則としており、例のなかに「ひとりずつ」がそのまま載っています。
ただし「づつ」も誤りではありません。
同じ告示が「『づ』を用いて書くこともできる」と認めているからです。
では、なぜ「小包」は「こづつみ」なのでしょうか。
同じ「つつ」の音なのに、こちらは「づ」が正しいのです。
この記事では、その分かれ目まで整理します。
「ずつ」と「づつ」はどっちが正しい?結論から
現代の文章では「ずつ」を使います。
- ずつ … 本則。現代の文章・公用文・報道はこちら
- づつ … 認められてはいるが、歴史的仮名遣いに由来する古い形
「づつ」は間違いではないものの、現代の文章では見慣れない形になります。
迷ったら「ずつ」を選んでおけば、どんな場面でも指摘を受けません。
内閣告示に「ひとりずつ」が載っている
仮名遣いの基準は内閣告示「現代仮名遣い」で定められています。
その「第2(表記の慣習による特例)」に、この語がそのまま出てきます。
なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
例 せかいじゅう(世界中) いなずま(稲妻) かたず(固唾) きずな(絆) さかずき(杯)…
うでずく くろずくめ ひとりずつ ゆうずう(融通)出典:内閣告示「現代仮名遣い」本文 第2(表記の慣習による特例)/2026年8月23日確認
読みどころは2つあります。
- 「ひとりずつ」が例として名指しされている … 判断に迷う余地がない
- 「ぢ」「づ」を用いて書くこともできる … 「づつ」を誤りとは言っていない
つまり「ずつが正しく、づつは間違い」という説明は正確ではありません。
正しくは「ずつが本則で、づつも許容されている」です。
なぜ「小包」は「こづつみ」なのか
ここが、この話でいちばん分かりにくいところです。
「ひとりずつ」はずなのに、「小包」はこづつみ。
どちらも「つつ」の音なのに、なぜ分かれるのでしょうか。
答えは、告示が「じ・ず」と「ぢ・づ」を4つに分類しているからです。
①同音の連呼 → ぢ・づ
同じ音がくり返されて濁ったものです。
- ちぢむ(縮む)・ちぢれる・ちぢこまる
- つづく(続く)・つづみ(鼓)・つづる(綴る)・つづら
「ちぢむ」を「ちじむ」、「つづく」を「つずく」と書くのは誤りです。
「ち」「つ」がくり返されているので、濁点も同じ行に付きます。
②二語の連合 → ぢ・づ
2つの言葉がくっついて濁ったものです。ここに「小包」が入ります。
- こづつみ(小包)… 小+包み
- はなぢ(鼻血)… 鼻+血
- てづくり(手作)… 手+作り
- みかづき(三日月)… 三日+月
- たけづつ(竹筒)… 竹+筒
- おこづかい(小遣)・もとづく・うらづける・かたづく
元の言葉に分解できるかどうかが分かれ目です。
「小包」は「小」と「包み」に分けられるので、「包み」の「つ」が濁って「づ」になります。
③二語に分解しにくい → ず・じ(本則)
元は2語だったとしても、今の感覚では切り離せないものです。
「ひとりずつ」はここに入ります。
- ひとりずつ うでずく くろずくめ
- いなずま(稲妻) きずな(絆) さかずき(杯) かたず(固唾)
- つまずく うなずく おとずれる(訪れる) ひざまずく
- せかいじゅう(世界中) ゆうずう(融通)
このグループだけが「ず・じ が本則、づ・ぢ も可」という二段構えになっています。
④漢字の音でもともと濁る → ず・じ
告示には注意書きが付いています。
[注意]次のような語の中の「じ」「ず」は,漢字の音読みでもともと濁っているものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず,「じ」「ず」を用いて書く。
例 じめん(地面) ぬのじ(布地) ずが(図画) りゃくず(略図)
「地面」を「ぢめん」と書かないのは、「地」という漢字の音がもともと「ジ」だからです。
「ち」が濁ったのではないので、①にも②にも当たりません。
4分類のまとめ
- ①同じ音がくり返された → ぢ・づ(ちぢむ、つづく)
- ②2語に分解できる → ぢ・づ(こづつみ、てづくり、みかづき)
- ③分解しにくい → ず・じ が本則(ひとりずつ、きずな、いなずま)
- ④漢字の音がもともと濁る → ず・じ(じめん、ずが)
「ずつ」と「こづつみ」が分かれるのは、③と②の違いだったということです。
迷いやすい組み合わせ
「しづらい」は「づ」
「〜しづらい」は「し」+「つらい(辛い)」に分解できます。
②の二語の連合にあたるので、「しづらい」が正しい形です。
「しずらい」と書くと、分解できない語のように扱ってしまうことになります。
「つまずく」は「ず」
語源をさかのぼれば「爪+突く」とされますが、今の感覚では分解できません。
そのため③に入り、「つまずく」が本則です。
「しづらい」と「つまずく」で扱いが違うのは、現代語として分解できるかどうかの差です。
「まちがえる」を「まぢがえる」とは書かない
「間違える」は「間」+「違える」と分解できそうですが、
この場合の「ち」は濁っておらず、そもそも「ぢ」の問題になりません。
実務でどちらを使うか
- 公用文・申請書・報告書 … ずつ
- ビジネス文書・メール … ずつ
- 報道・出版 … ずつ
- 小説・詩など、古風な表記を狙う場合 … づつも可
迷ったら「ずつ」で問題ありません。
「づつ」を選ぶのは、意図して古い表記を使いたいときだけです。
よくある質問
「づつ」と書いたら間違いになりますか
なりません。
告示が「『ぢ』『づ』を用いて書くこともできる」と認めています。
ただし現代の文章では見慣れない形なので、読み手が引っかかる可能性はあります。
なぜ「づつ」という書き方があるのですか
歴史的仮名遣いでは「づつ」と書いていたためです。
戦後に現代仮名遣いへ移行する際、「ず」を本則としつつ、従来の「づ」も残されたという経緯があります。
漢字ではどう書きますか
「宛」という漢字を当てることがあります(「一人宛」など)。
ただし現代の文章ではまず使われません。
内閣告示が仮名で「ずつ」と示していることもあり、仮名書きが標準です。
「一つずつ」と「一つづつ」、検索ではどちらが多いですか
圧倒的に「ずつ」です。
辞書の見出し、新聞、教科書、行政文書のいずれも「ずつ」で統一されています。
「気づく」は「ず」ですか「づ」ですか
「気づく」です。
「気」+「付く」に分解できるので、②の二語の連合にあたります。
告示の例にも「もとづく」「うらづける」「かたづく」が挙がっています。
まとめ
現代の文章では「ずつ」を使ってください。
内閣告示「現代仮名遣い」が「ず」を本則とし、例のなかに「ひとりずつ」を挙げています。
ただし「づつ」も誤りではありません。
同じ告示が「『づ』を用いて書くこともできる」と明記しているからです。
「ずつが正しく、づつは間違い」という説明は、正確ではありません。
そして「小包」が「こづつみ」なのは、2語に分解できるからです。
告示は「じ・ず」と「ぢ・づ」を4つに分けています。
- 同じ音がくり返された → ぢ・づ(ちぢむ、つづく)
- 2語に分解できる → ぢ・づ(こづつみ、てづくり、気づく)
- 分解しにくい → ず・じ が本則(ひとりずつ、きずな)
- 漢字の音がもともと濁る → ず・じ(じめん、ずが)
この4分類が分かれば、「しづらい」も「つまずく」も「気づく」も、自分で判断できます。
同じ仮名遣いの迷いについては「しづらい」と「しずらい」の違いを、
「地面」を「ぢめん」と読まない理由については地面を「ぢめん」と読まない理由を、
公的な基準がある表記の話については「一人ひとり」「一人一人」「ひとりひとり」はどれが正しい?もあわせてご覧ください。
※本記事の仮名遣いに関する記述は内閣告示「現代仮名遣い」本文 第2(表記の慣習による特例)を2026年8月23日に確認したものです。
カタカナ表記のゆれについては、「ウイルス」と「ウィルス」はどっちが正しい?1965年に学会が統一を求めたもあわせてご覧ください。

