「サンドイッチ」と「サンドウィッチ」はどっちが正しい?告示が名指しで挙げている語

正しい読み方、つづり方

お店のメニューを見ていると「サンドイッチ」と「サンドウィッチ」が両方あって、どちらが正しいのか気になります。
ときには「サンドウイッチ」という大きい「イ」の形まで出てきます。

結論を先にお伝えすると、「サンドイッチ」です。

しかもこの語は、国の告示に名前を挙げて例示されている数少ない言葉のひとつです。
そして現行の法令を数えたところ、5件すべてが「サンドイッチ」。「サンドウィッチ」は0件でした。

この記事では、告示と条文をそのまま示しながら、3つの表記を整理します。

「サンドイッチ」と「サンドウィッチ」はどっちが正しい?結論から

パンに具をはさんだ食べ物は「サンドイッチ」です。

  • サンドイッチ … 告示が名指しで例示。法令・辞書もこちら。迷ったらこれ
  • サンドウィッチ … 誤りではないが、公的な文書には出てこない
  • サンドウイッチ … 同上。古い書物や店名で見かける

おもしろいのは、この語が「ウ」を落とすと決まっている数少ない例外だということです。

英語のつづりは sandwichwi がしっかり入っているのに、日本語では「ウ」が消えます。
その理由が、国の告示にはっきり書かれています。

内閣告示に「サンドイッチ」が名指しで載っている

カタカナの書き方には、国が示した基準があります。
内閣告示第2号「外来語の表記」(平成3年6月28日)です。

この告示の留意事項その2(細則的な事項)Ⅱ の2が、「ウィ」の音の書き方を定めています。

2 「ウィ」「ウェ」「ウォ」は,外来音ウィ,ウェ,ウォに対応する仮名である。
〔例〕 ウィスキー ウェディングケーキ ストップウォッチ …

注1 一般的には,「ウイ」「ウエ」「ウオ」と書くことができる。
〔例〕 ウイスキー ウイット ウエディングケーキ ウエハース ストップウオッチ

注2 「ウ」を省いて書く慣用のある場合は,それによる。
〔例〕 サンドイッチ スイッチ スイートピー

出典:文化庁「外来語の表記」留意事項その2(細則的な事項)Ⅱ/2026年8月25日確認

注2の最初に置かれているのが「サンドイッチ」です。

告示の用例集は日常語を中心にした約317語で、すべての外来語を載せているわけではありません。
その中で名指しで例に挙げられているのですから、扱いとしては手厚いほうです。

「ウィ」の音を、日本語は3通りに受けている

この項をまとめて読むと、同じ wi の音に対して3つの受け止め方があることが分かります。

  • 「ウィ」と書く … ウィスキー、ウィーン(地名)
  • 「ウイ」と書く … ウイスキー、ウイット
  • 「ウ」を落とすサンドイッチ、スイッチ、スイートピー

どれになるかは語ごとの慣用で、規則からは決まりません。
サンドイッチは3つ目のグループに入っている、というのがこの語の位置づけです。

同じ項の「ウエ/ウェ」については「ウエディング」と「ウェディング」はどっちが正しい?で詳しく扱っています。

法令で数えると5件対0件

その「慣用」がどれくらい強いのか、実際の法令で数えました。
e-Gov法令検索で現行の法令を横断検索した結果です(2026年8月25日確認)。

  • サンドイッチ … 5件
  • サンドウィッチ … 0件
  • サンドウイッチ … 0件

条文に出てくるのは、この4つの法令です。

  • 商標法施行規則 … 「あんぱん クリームパン ジャムパン 食パン バンズ/サンドイッチ
  • 小売物価統計調査規則 … 外食の調査品目として「豚カツ定食 しょうが焼き定食 焼肉 サンドイッチ
  • 家畜伝染病予防法施行規則 … 「エライザ法(サンドイッチ法)」
  • 不正競争防止法の関係省令 … 商品の一覧に「香辛料、サンドイッチ

同じ注2の「スイッチ」は104件対0件

告示の注2に並ぶもう一つの語も数えてみました。

  • スイッチ … 104件(関税定率法、電気工事士法施行令ほか)
  • スウィッチ … 0件

ナイフスイッチ、タンブラースイッチ、カットアウトスイッチ。
電気関係の条文にずらりと並びますが、「スウィッチ」は1件もありません。

告示が「ウを落とす」と挙げた語は、法令でも例外なくそのとおりでした。
これは、告示の記述が現実とぴったり一致している例になります。

ちなみに、同じように法令を数えてきた語には、告示と現実が食い違うものもありました。
その違いは「ダイヤ」と「ダイア」はどっちが正しい?に4つのパターンとして整理してあります。

食べ物ではない「サンドイッチ」が法令にある

5件の中に、ひとつだけ毛色の違う条文がありました。

臨床検査 1 エライザ法(サンドイッチ法)

出典:家畜伝染病予防法施行規則/e-Gov法令検索にて2026年8月25日確認

家畜の伝染病を調べる検査の方法です。
調べたい物質を上下から挟み込むように捕まえる手順なので、この名前が付いています。

パンで具を挟む形が、そのまま検査手法の名前になっているわけです。
食べ物の話でなくても、表記は「サンドイッチ」でした。

なぜ「サンドウィッチ」と書きたくなるのか

理由ははっきりしています。英語のつづりに wi があるからです。

sand-wich。原音に近づけようとすると、どうしても「ウィ」を入れたくなります。

告示はこの気持ちも否定していません。
「ウィ」は第2表の仮名で、原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いるものだと定められています。

ただし同じ告示が、こう続けます。

これらの仮名を用いる必要がない場合は,一般的に,第1表に示す仮名の範囲で書き表すことができる。

出典:文化庁「外来語の表記」留意事項その2 Ⅱ/2026年8月25日確認

サンドイッチは日本語にすっかりなじんだ語です。
原音に寄せる必要がないので、告示は「ウ」を落とした形を例に挙げた、と読めます。

「カツサンド」と略せるのは、切れ目がそこにあるから

日本語での扱いを見ると、もうひとつおもしろいことがあります。

  • カツサンド
  • たまごサンド
  • フルーツサンド
  • ミックスサンド

どれも「サンド」で切って略しています。

英語の切れ目は sand(砂)+ wich ではありません。
それでも日本語では「サンド」+「イッチ」として受け取られていて、前半だけが独立して使われています。

「ウ」が消えたことと、「サンド」で切れることは、同じ現象の裏表と見ることもできます。
もし「サンドウィッチ」と書いていたら、「サンドウ」で切るのは不自然になるはずです。

なお「カツサンド」「フルーツサンド」は現行の法令には出てきませんでした(2026年8月25日確認)。
条文に載っているのは「サンドイッチ」という完全な形だけです。

迷ったときの考え方

ふつうの文章は「サンドイッチ」

メニュー、案内文、社内文書、記事。特別な理由がなければ「サンドイッチ」で足ります。
告示が名指しで挙げ、法令もすべてこの形でした。

店名・商品名はそのまま写す

「◯◯サンドウィッチ」という店名やブランド名があります。
告示は固有名詞には及ばないので、相手の正式名称のとおりに書いてください。

「サンドウィッチ」を見かけても直さない

原音に寄せた書き方で、誤りではありません。
書き手の選択なので、指摘する必要はありません。

1つの文書の中では揃える

どちらを選んでも通じますが、同じ文書に両方が混ざるのが一番読みにくいです。
最初に決めて、最後まで通してください。

よくある質問

「サンドウィッチ」と書いたら間違いですか

間違いではありません。「ウィ」は内閣告示の第2表にある正式な仮名です。
ただし告示は「サンドイッチ」を例示しており、現行法令も5件すべてがこの形でした。一般的な文章では「サンドイッチ」を選んでください。

「サンドウイッチ」という書き方も見ますが

大きい「イ」を使った形です。こちらも誤りではありませんが、法令には1件も出てきません。
古い書物や店名で見かける書き方です。

なぜ英語には wi があるのに「ウ」が消えるのですか

内閣告示が「『ウ』を省いて書く慣用のある場合は,それによる」としており、その例に挙げられているためです。
規則から導かれたものではなく、定着した書き方を追認した形になります。

「スイッチ」も同じ仲間ですか

はい。告示の同じ注2に並んでいます。
法令でも「スイッチ」が104件に対し「スウィッチ」は0件で、こちらも例外がありませんでした。

「サンド」だけで通じるのはなぜですか

日本語では「サンド」+「イッチ」として受け取られているためです。
カツサンド、たまごサンド、フルーツサンドのように、前半だけが独立して使われています。

公的な文書ではどちらを使いますか

内閣告示は行政機関が表記のよりどころとするよう内閣訓令で示されています。
その告示が「サンドイッチ」を例示しており、実際の条文もすべてこの形でした。

まとめ

パンに具をはさんだ食べ物は「サンドイッチ」です。

内閣告示「外来語の表記」の留意事項その2 Ⅱ の注2に、
「『ウ』を省いて書く慣用のある場合は,それによる」として、サンドイッチ・スイッチ・スイートピーの3語が挙げられています。
サンドイッチはその筆頭です。

現行の法令を数えると、サンドイッチ5件に対し、サンドウィッチもサンドウイッチも0件。
同じ注2の「スイッチ」も104件対0件で、告示が挙げた語には例外がありませんでした。

5件の中には、家畜伝染病予防法施行規則の「エライザ法(サンドイッチ法)」という、食べ物ではない用法もありました。
上下から挟む検査の手順が、そのまま名前になっています。

「サンドウィッチ」と書きたくなるのは、英語の wi に近づけたいからです。
告示もその書き方を否定していませんが、原音に寄せる必要がなければ第1表の範囲で足りるとしています。

迷ったら「サンドイッチ」。それで足ります。

同じ項の「ウエ/ウェ」については「ウエディング」と「ウェディング」はどっちが正しい?を、
告示と法令の関係を4つに整理したものは「ダイヤ」と「ダイア」はどっちが正しい?を、
同じ音でも英語では別の単語という例は「バッジ」と「バッチ」はどっちが正しい?もあわせてご覧ください。

※本記事の外来語表記の基準に関する記述は文化庁「外来語の表記」(平成3年内閣告示第2号)留意事項その2Ⅱを、法令の条文および件数はe-Gov法令検索を、いずれも2026年8月25日に確認したものです。法令の件数は同日時点でのキーワード検索の結果です。

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